イギリスが生んだ名作”スリーグレイシス”
平素よりCOCOINをご覧いただき誠にありがとうございます。
本日は改めてイギリスの、いえ、アンティークコイン界の名作、
”スリーグレイシス”について改めてご紹介させていただきたいと思います。
まず、デザインを手がけた「ウィリアム・ワイオン」について
1795年、ウィリアム・ワイオンは代々彫刻師を輩出する家系に生まれ、
14歳の時にコインデザイナーであった父・ピーターに弟子入りしました。
それからデザイナーとしての才能をいかんなく発揮し、21歳の時には英国造幣局=ロイヤルミントの助手彫刻師に任命され、
数々の賞を受賞しながら1828年・33歳の時にロイヤルミント主任彫刻師の座につきます。
その後、56歳で亡くなるまでウィリアム・ワイオンはロイヤルミントの主任彫刻師であり続けました。彼の亡き後も息子のレオナルド(レナードとも)がロイヤルミントの彫刻師として活躍し、英国領のコインの多くを手がけました。
ウィリアム・ワイオンのデザインしたコインはどれも美しい彫刻で知られています。
代表作として名高いのは1839年の「ウナとライオン」、1847年の「ゴシッククラウン」、そして1817年発行の「スリーグレイシス」でしょう。
【スリーグレイシス】
スリーグレイシス試鋳貨が発行されたのはおよそ200年前、1817年です。ウィリアム・ワイオンは1795年の生まれですので、若干22歳にしてこの美しいデザインを仕上げたことになります。
コインのデザインは表面に英国王ジョージ3世の肖像、裏面に三美神(=スリーグレイシス)が描かれたもので、裏面のデザインがそのまま通称になっています。3柱の女神はそれぞれグレートブリテン・アイルランド・スコットランドの象徴を携えており、連合の結束を芸術のモチーフに落とし込んで見事に表現しています。
スリーグレイシス試鋳貨は銀貨の傑作として特によく知られており、銀貨でありながらも美しさ・高い希少性(50~100枚程度)を兼ね備えることから、個体によって2000万円以上の価格で取引されています。
ワイオン自身の私蔵品であった個体も流通しており、やはり高額での取引がされています。
【幻のスリーグレイシス試鋳貨】
実はスリーグレイシスは銀貨以外にも銅貨・ホワイトメタル・そして金貨での試作がされています。いずれも銀貨より更に少ない発行枚数で、市場に出てくること自体が殆どありません。
特に金貨は発行枚数3~5枚程度でありながら、ロンドン・スコットランド・ニューヨークの博物館に1枚ずつ所蔵されていたため、存在を認知されつつも一般市場に出回ることが無いと考えられていました。まさに幻のコインです。
しかし2018年11月、幻が現実となり4枚目の金貨が日本のコインオークションに登場しました。落札価格は国内レコードとなる9,100万円に登り、業界を大いに震撼させました。
この1枚が再び市場に出てくるのがいつの日になるかは分かりませんが、その際には1憶5000万円、2億円、もしかしたらそれ以上のレコードと共に落札されることは想像に難くありません。
天才コインデザイナー、若き日の名作は時代を超えて人々の心を魅了し続けています。
そんなスリーグレイシス試鋳貨を現在1枚ご紹介が可能でございます。
あまりの希少性のため価格はASKとさせていただいておりますが
ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
【1817年 ジョージ3世 ”スリーグレイシス” クラウン試作銀貨(PCGS/ UNC DETAIL)】はこちら