メキシコのアンティークコインについて
メキシコは、豊かな文化と歴史を誇る国であり、その貨幣の歴史もまた、壮大な物語を刻んできました。スペイン統治時代から独立後の混乱、そして現代に至るまで、メキシコのコインはその時々の政治・経済・文化の変遷を反映しながら発展してきました。
スペイン統治時代
メキシコの貨幣の歴史は16世紀に遡ります。1519年、スペインの探検家エルナン・コルテスがアステカ帝国を征服し、その後、スペインの植民地「ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン)」として統治されました。そして、1535年にメキシコシティにラ・カサ・デ・モネダ(メキシコ造幣局)が設立されることとなります。これはアメリカ大陸で最も古い造幣局であり、現在も存続しています。
スペイン統治下で発行された代表的なコインといえば 8レアル銀貨(別名:ピース・オブ・エイト)でしょう。
純銀製で、スペイン帝国の経済を支えた重要な貨幣であり、アジアやヨーロッパでも広く流通し、大航海時代における世界共通通貨ともいえる存在でした。
こちらは海賊の財宝としても有名で、パイレーツオブカリビアンなどの映画に登場する金貨はこちらをモチーフにされております。また、この8レアル銀貨は、アメリカ合衆国の「ドル」の原型となったともいわれ、世界の貨幣史に大きな影響を与えました。
メキシコ独立と貨幣の変遷(19世紀)
19世紀初頭、メキシコはスペインからの独立を目指し、1810年に独立戦争が勃発しました。1821年に独立を果たすと、貨幣もスペイン時代のものからメキシコ独自のものへと変わっていき、独立を記念したコインも鋳造されました。メキシコ・インディペンデンス銀貨はメキシコ独立を象徴するデザイン、かつ、スペイン王室の紋章が消え、メキシコの国章(鷲と蛇)が登場した初めてのコインです。独立初期のコインは発行枚数が少なく、希少性が高いため市場価値が上昇傾向にあります。
黄金時代のメキシコ金貨(19~20世紀)
メキシコは、世界的な金銀産出国の一つとして知られており、特に19世紀後半から20世紀にかけて発行された金貨はコレクターにとって非常に魅力的です。
1921年にメキシコ独立100周年を記念して発行された50ペソ金貨(センテナリオ)は表面に「勝利の女神」、裏面にメキシコの国章(鷲と蛇)が描かれ、37.5グラムの純金製、その大きさと美しいデザインから、「世界で最も美しい金貨のひとつ」と称され今でも世界中の投資家やコレクターから支持されています。
さいごに
メキシコのアンティークコインは、歴史的価値、美しさ、資産価値の3つを兼ね備えた魅力的なコレクションアイテムです。
細かい彫刻と芸術的なデザインが特徴的で、神話や歴史的モチーフが多く採用されていることから視覚的にも楽しめる逸品が多く存在します。
市場評価が上昇傾向にあるメキシココインを是非一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。